ガリレオが木星の衛星を発見(1610年1月7日)
1608年、オランダの眼鏡職人ハンス・リッペルスハイは凸レンズ(対物レンズ)と凹レンズ(接眼レンズ)を筒にはめた望遠鏡を作りました。オランダ政府はリッペルスハイの望遠鏡の実用性を高く評価し、リッペルスハイに褒賞を与えました。このことからリッペルスハイが望遠鏡の発明者とされています。この凸レンズと凹レンズを組み合わせた望遠鏡をオランダ式望遠鏡といいます(望遠鏡の開発については、ココログ「光と色と」の「望遠鏡を発明したのは誰?」をご参照ください)。
遠くのものが近くに見える望遠鏡はたいへん便利な道具で、オランダのみならず各国に広まりました。このオランダ式望遠鏡を改良して、天体観測をしたのがイタリアのガリレオ・ガリレイです。このことからオランダ式望遠鏡をガリレオ式望遠鏡ともいいます。ガリレオは製作した望遠鏡で月の観察を行いました。1609年に月の表面に凸凹があり、海(月の暗い部分)があることを発見しています。ガリレオは著書「天文対話」で月が明るく輝く理由について月の表面が凸凹だからと結論づけています。
ガリレオはさらに天体観測を進め、1610年1月7日、木星の衛星「ガニメデ」「エウロパ」「イオ」を発見、後日さらに「カリスト」を発見しました。これら4つの衛星はガリレオ衛星と呼ばれています。ガリレオこの観測結果を1610年3月に論文「星界の使者(Sidereus Nuncius)」として発表しました。
ガリレオは木星の周りを4つの衛星が回っていることを発見して、当時信じられていた天動説に異論をもつようになりました。当時、天動説は宗教的な支持もあり、ニコラウス・コペルニクスが提唱した地動説は異端とされ、圧倒的に優位な立場にありました。
天動説の主張のひとつに、もし地動説の言う通りに地球が太陽の周りを回っているとするならば、その回転運動の影響によって月は軌道から外れてしまうという反論がありあした。この反論に対して、地動説は説明を与えることができなかったのです。しかしながら、ガリレオの木星の衛星の発見により、天動説の主張が崩れたのです。
ガリレオは地動説を唱え続け、裁判で有罪判決を受けた話は有名です。裁判の経緯については諸説ありますが、最終的にガリレオが許されることはなく、1642年1月8日に軟禁されていた家で亡くなりました。その後、ヨハネス・ケプラーやアイザック・ニュートンの研究成果によって、天動説は科学的に否定されましたが、ガリレオ裁判が覆ることはありませんでした。
現代においては天動説が誤りであることは明白です。1992年10月31日、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世はガリレオ裁判が誤りであったことを認めガリレオに謝罪しました。そして、2008年12月21日にベネディクト16世が公式に地動説を認めました。
ニュートンが論文「プリンキピア」を発表(1687年)から321年、ガリレオがこの世を去ってから(1642年)366年後のことでした。
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