ボーイング747が就航(1970年1月22日)
ジャンボジェット機の愛称で親しまれた大型旅客機のボーイング747(B747)。この内部に2つの通路を備えたワイドボディの旅客機は乗客を500人以上も運ぶことができました。
B747が登場する1960年代は乗客数が150〜200人の通路が1つしかないナローボディの旅客機が主流でした。高まる航空需要に応えるためには、従来の機体よりも大型で乗客数が倍以上の旅客機が必要性に迫られていました。
当時、米国フラッグ・キャリアとして国際航空路線を拡充していたパンアメリカン航空は、ボーイング社に対して、乗客数400人を実現する大型旅客機の開発を要求しました。この要求に対してボーイング社は開発が頓挫していた米軍向けの輸送機を民間機として設計し直すことを提案ました。1965年にパンアメリカン航空はこの計画を了承し、25機のB747を注文しました。ボーイング社は1969年に初号機をパンアメリカン航空に納入するため、28ヶ月という信じられないほどの短期間で開発設計を完了しました。当時、世界の航空会社は乗客の獲得で激しい競争をしていました。パンアメリカン航空のB747の発注に続いて、多くの航空会社がB747を発注しました。
B747は旅客機としてだけではなく輸送機としても利用できるように、機種部分から貨物の積み下ろしができるような設計になっていました。この構造によって操縦席と客席の一部が2階に配置されました。この背景には、当時開発が進められていたコンコルドをはじめとする超音速ジェット機が旅客機の主流になっていくと考えられていたからです。そのため、B747は旅客機仕様から輸送機仕様に変更できるように作られていました。輸送機仕様のB474も貨物専用の航空会社から多くの注文がありました。
B747の商用路線の初フライトは1970年1月22日、パンアメリカン航空のニューヨーク-ロンドン線を結ぶフライトです。その後、多くの航空会社でB747が就航しました。従来の飛行機よりも大型機が必要という要望から開発されたB474でしたが、実際には当時の航空需要に対して座席数が多すぎ、座席が満席になることはありませんでした。そのため多くの航空会社が座席を満席にするため運賃を下げて全体の売上向上を狙う戦略を取り始めました。その結果、さまざまな割引が行われるようになり、とりわけエコノミークラスの格安運賃が渡航費用を下げることになり、それまで庶民にとって高嶺の花であった海外旅行が身近なものになりました。
当初、B474は超音速旅客機に置き換えられると考えられていましたが、超音速旅客機がその採算性や騒音問題の解決に目処が立たずに頓挫したことから、とりわけ遠距離旅客機の主流となりました。
開発から半世紀以上たった現在においても活躍しているB474ですが、より低燃費で後続距離の長い双発の旅客機が開発されたことによって、大型機で一度にたくさんの乗客を運ぶよりも、中型機で複数回運航する航空会社が増えてきました。日本ではJALが2011年2月、ANAが2014年3月にB747の運行を終了しています。
世界各国でもB747の需要に陰りが見え始めていましたが、新型コロナウイルスの流行がB474の終焉を決定づけることになりました。
2020年7月、ボーイング社はB4747の生産を2022年に終了することを発表しました。
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