カラーの日(1月6日)
毎年1月6日はカラーの日です。1(い)月6(ろ)日の語呂からカラーを通して元気に活躍してもらうことを目的として一般社団法人ビジネスカラー検定協会が制定したもので、一般社団法人日本記念日協会が認定しています。私たちは色に満ち溢れた世界を毎日見ています。長い歴史の中で、色は私たちに心理的な影響を与えてきましたし、私たちの生活を豊にしてくれます。私たちが色をどのように捉えるのか、色をどのように利用すると良いのかなどの色彩の研究が進められいます。カラーの日は色に関する仕事に従事する人たちの活躍を祈念する日でもあります。
さて、色の本質は何か。科学的な興味はまずそこに向けられるでしょう。そんなことを、つべこべ考えるのも色の重要おはなしです。
古代ギリシャの自然哲学者アリストテレスは、色は光と闇のはざま、つまり白と黒の間に生じると考えました。アリストテレスは太陽光が大気中や物質中を通ることによって暗くなり、その過程で黄、赤、紫、緑、青の色が生じると考えました。これをアリストテレスの変改説(変容説、変化説)といいます。
アリストテレスの変改説は多くの学者に支持され、17世期の中頃まで信じられていました。色の本質が何かを突き止めたのはイギリスの物理学者アイザック・ニュートンです。ニュートンは1666年に太陽光をプリズムで分解する実験を行い、無色の太陽光が赤から紫までの色の光からなることを確認しました(ニュートンのプリズムの実験)。
ニュートンは一連の実験結果を1704年の著者『光学』にまとめています。ニュートンは無色の太陽光をプリズムに通すと赤から紫までの色の光に分解できること、分解した光を集め直すと無色の光に戻ることを示しています。そして、プリズムで分解して得られた1つの色の光はそれ以上は分解できないこと、そうやって取り出した2つの色の光を混ぜ合わせると別の色が生じること、物体に当てる光の色によって物体の色が変化することを明らかにしました。そして、ニュートンは光そのものには色がついていないと述べています。ニュートンの実験と検証により、長らく信じられていたアリストテレスの改変説が否定され、色がどのように生じるのかが突き止められたのです。
ニュートンの実験からも分かる通り色が光や物質に関連して生じることは明らかです。しかしながら、光そのものに色がついているわけではありません。また、物体の色は当てる光の色によって変わりますから、物体そのものにも色がついているわけでもありません。光や物体は、色を生じる役割を果たしているものの、色が見える本質ではありません。
私たちが認識している色はヒトの色覚が認識しているものです。ココログ「光と色と」の「色とはなんだろう 色が見える仕組み(4)」の説明の通り、私たちの色覚の働きなしには色は存在しません。つまり、私たちが認識している色というのは、眼に入ってくる光の情報をもとに脳内で作り出しているものです。もともと光や物体には色はついていません。脳が見えているものに色をつけているのです。私たちが見ている色とりどりの景色は私たちの脳内で作り出されているバーチャルな世界と言えるでしょう。
光と色のおはなしについては、ココログ「光と色」および別館「光と色と THE NEXT」に記事をアップしています。興味のある方は是非ご一読ください。
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