ベートーヴェンの「運命」初演の日(1808年12月22日)
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの交響曲は第1番から第9番までありますが、その中でも交響曲第5番ハ短調作品67はベートーヴェンを象徴する曲のひとつと言えるでしょう。この第5番は「運命(Fate)」として知られていますが、これは正式な名称ではありません。
ベートーヴェンの弟子の音楽家アントン・シンドラーによる著書「ベートーヴェンの生涯」によると、第5番の冒頭の4つの音について、ベートーヴェンが「このように運命は扉をたたく」と述べたとあります。このベートーヴェンの言葉によって、第5番は「運命(Fate)」という通称がつけられました。「ベートーヴェンの生涯」はシンドラーが聴覚障害をもつベートヴェンの身の回りの世話をしていたことから広く世に知られることになり、後のベートーヴェンの障害や楽曲の解釈に大きな影響を与えました。
しかしながら、シンドラーの著者は当初から信憑性に問題があることが指摘されており、内容の捏造や耳の不自由なベートーヴェンが使っていた会話帳の改ざんが多数あることが判明しています。そのため、運命の由来が本当にベートーヴェンの言葉に由来するのどうかについては信憑性が疑われています。そのような状態ですが第5番の「運命」という通称は現在においても使われていますし、刷り込みかもしれませんが、この曲を聞けば確かに「運命」という印象を受けます。
さて、交響曲第5番ハ短調作品67は1808年12月22日にオーストリアのウィーンのアン・デア・ウィーン劇場において、ベートーヴェン自らの指揮によって披露されました。ベートーヴェンは若い頃から難聴を患っていましたが、運命の初演時には38歳でほとんど耳が聞こえなくなっていました。40歳には完全に耳が聞こえなくなりました。
初演では第5番は第6番として演奏されました。現在の第6番は「田園」ですが、この時は第5番として演奏されました。記録によると、この演奏会は4時間を超えたそうですが、劇場には暖房設備もなく、少数の観客の前での演奏となったようです。また、歌手の都合で演奏できなくなった曲や演奏の途中で混乱してやり直しになった曲があり、初演は大失敗に終わりました。
しかしながら、第5番は第6番とともに高く評価され、多くのオーケストラが演奏するようになり、多くの音楽家に多大な影響を与えました。交響曲の第5番に傑作が多いのはベートーヴェンの第5番によるものです。
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