「虎の威を借る狐」はお馬鹿さんな虎のお話だった?
「虎の威を借る狐」という諺は、一方的に狐のイメージが悪いのですが、もともとの話はどのようなものだったのでしょうか。
「虎の威を借る狐」は中国の古書「戦国策」の楚策にある言葉です。
春秋戦国時代の楚の国の第36代君主の宣王が、部下の昭奚恤と自分の関係について、次のように訪ねました。
『諸国では、私より昭奚恤をおそれているというが本当のことか』
この質問に対して、魏の国出身の江乙が次のようなたとえ話をしました。
『虎は百獣を捕まえて食べていました。狐を捕まえたとき、狐が「あなたは私を食べてはいけない。天帝は、私を百獣の王とされた。今、私を食べることは、あなたは天帝の命に逆らうことになる。私の言うことが信じられないならば、私が先に歩いてみせましょう。あなたは私の後ろについて見ていなさい。私の姿を見た百獣は逃げ出すはずだ」と言いました。虎は狐の後をついてくと、動物たちは皆逃げ出しました。虎は動物たちが虎をおそれて逃げたことに気が付かず、 動物たちが狐をおそれていると思ったのです』
(虎求百獣而食之。得狐、狐曰「子無敢食我也。天帝使我長百獣。今、子食我是逆天帝命也。子以我為不信、吾為子先行。子随我後観。百獣之見我而敢不走乎」 虎以為然。故遂与之行。 獣見之皆走。虎不知獣畏己而走也。以為畏狐也)
つまり、江乙は、諸国が昭奚恤をおそれているのは、昭奚恤の背後に宣王の存在があるからだと説明したのです。
このたとえ話で宣王と昭奚恤の力関係はわかりましたが、たとえ話に出てくる虎は、あまりにもお馬鹿さんのように思えます。狐はずる賢いというよりも、とんちが効いていて、一休さんのように聡明な印象があります。
宣王がこのたとえ話で気分を害さなかったのかも心配になります(^^ゞ
虎さん、どうなんでしょうか?
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