桶屋は本当に儲かったのか?|「風吹けば桶屋が儲かる」
「風吹けば桶屋が儲かる」 という諺は、あることが発生したとき、全く関係なさそうなことに影響が及ぶことを喩えたものです。
なぜ風が吹くと、桶屋が儲かるのかというと、次のような因果関係です。1の原因から7の結果に至るまで、いろいろとプロセスを考えるのも面白いですね。
- 風で土埃が立つ
- 土埃が目に入ると、盲人が増える
- 盲人は三味線を買う
- 三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが減る
- ネコが減ると、ネズミが増える
- ネズミは桶をかじる
- 桶の需要が増え、桶屋が儲かる
さて、この「風吹けば桶屋が儲かる」は江戸時代の浮世草子の世間学者気質巻之三「極楽の道法より生涯の道法は天元の一心」にそのくだりがでてきます。
主人公の三郎衛門が「風吹けば桶屋が儲かる」と金儲けを思いついて、たくさんの桶(この話では箱)を準備しようとします。
『とかく今の世では有ふれた事ではゆかぬ。今日の大風で土ほこりが立ちて人の目の中へ入れば、世間にめくらが大ぶん出来る。そこで三味線がよふうれる。そうすると猫の皮がたんといるによって世界中の猫が大分へる。そふなれば鼠があばれ出すによって、おのづから箱の類をかぢりおる。爰で箱屋をしたらば大分よかりそふなものじゃと思案は仕だしても、是も元手がなふては埒明ず』
三郎衛門さんは儲け話を思いついたものの、桶(箱)を準備する元手がなく埒が明きませんでした。つまり、お金を工面できなかったということです。
したがって、結論としては「風吹けば桶屋が儲かる」は本当は桶屋が儲からなかった話ということになります。また、大損をしたという話でもありません。
余談ですが、その昔、自分がこの諺を理解していなかった子どもの頃に、こんな意味だろうと漠然と考えていたのは
- 風が吹くと、軒先に並べてある桶が飛ばされて壊れる
- 桶の需要が増え、桶屋が儲かる
でした。因果関係が非常に単純でわかりやすいし、桶は売れるでしょうが、これは間違いでした(^^ゞ
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コメント
この諺は、むくらという差別用語が使われており、動物保護の観点からも使用すべきではないと多くの場で言われています。公の場で使用すべきではないと思います。
投稿: | 2020年11月18日 (水) 13時34分