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2020年11月11日 (水)

おやじの店|遠い昔の街の思い出

 5年ほど前に学生の頃に住んでいた街に行ってきた。世話になった人に会う約束の時間まで2時間ほどあったので、街を散策することにした。街中をゆっくり歩くのは当時で25年ぶりぐらい。つまり今からだと30年以上も前のことである。

 最初に足が向いたのは駅から少し離れたところにある公園。駅近くのアーケード街を抜けて、さらに歩いた先にある公園。全てが懐かしい風景だ。本当にただの公園であるが、ここを最初に訪れたのは公園横の道路脇に当時行きつけの「おやじの店」と呼んでいた居酒屋があったからだ。もちろん25年も前のことだし、当時既に老朽化した建物だったので、店の跡地を確認できれば御の字だった。

 この店は大学の自分と同郷の代々の先輩が行き着けていた店で、自分も先輩に連れられて通うようになった。どうも、代々の先輩たちが、店のおやじさんや常連のお客さんと、よい関係を築いていたようで、後輩である自分もご多分に漏れず、すぐに店の常連になったのである。

 どんなに飲んでも、食べても、学生さんだからと1000円しかとらないおやじさん。「これ食べて」とタノンデモナイ料理も出てくるわ、常連さんにはビールやお酒を「学生さん一杯呑みなさい」とご馳走になるわ、すっかりお世話になりました。そういえば店が閉じてしまった夜中に押し掛けて、お茶漬け作ってもらったこともありました。

 一度、どうしてこんなにしてくれるのと聞いたら、実家が農家の初代の先輩が毎年田舎から、じやがいも、とうもろこし、野菜などを送ってくるそうで、この先輩が街を出てくときに、後輩が来たらよろしくと約束していたとのこと。会ったこともない先輩の縁がずっと続いているのだなと、しみじみ感じた次第。

 自分がこの街に住んだのはたった4年間、2年目頃からは自分が後輩を連れて店に通うようになっていた。そして、ついに街を出ていく日がやってきた。おやじさんと常連さんに別れを告げに行ったあの夜。おやじさんと常連さんは社会人になる自分に祝杯を挙げてくれた。社会人になって、しばらくすると自分は一人で居酒屋に行き、常連さんと飲むタイプになっていた。

 さてと。当時、店のおやじさんは70才ほど。亡くなっているかもしれません。常連さんも同じくらいの年齢でした。

 昔を思い出しながら、ただただ店の跡地だけでも見たいと思って足が向いたのです

 公園を抜けて、その場所に、、、その場所に、、、何とお店の建物が当時のままあったのです。もちろん、入り口は固く閉ざされていましたし、看板もありませんでした。よくもまぁこの建物が残っていたなと、感慨無量でした。

おやじの店
おやじの店

帰ってきて写真を見て気がついたですが、入り口にポリ容器などが転がっています。

まさかね・・・

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