腸内細菌のおはなし
■腸内細菌は重要な存在
ヒトの腸内にはだいたい100種類100兆個の細菌がいます。細菌というと何か悪いイメージがありますが、腸内細菌は、タンパク質や糖質などを分解したり、胃や腸の働きでは分解できない食物繊維を分解するなど、私たちが食べ物を消化するうえで、重要な役割を果たしているのです。
■どんな種類の腸内細菌がいるの
腸内細菌は、善玉菌と悪玉菌と日和見菌という3グループに分類することができます。これら細菌のバランスが重要であり、悪玉菌が善玉菌より優勢になるといろいろな問題が出てきます。善玉菌には、ビフィズス菌、ユウバクテリウム、腸球菌などがあり、免疫機能を活性化し、病原性の細菌を追い出したり、発ガン性物質を分解するなどの作用をもっています。悪玉菌には、ウェルシュ菌、ブドウ球菌、大腸菌などがあります。腸内が悪玉菌優勢になると、免疫力が低下し、感染症を引き起こしやすくなります。また、悪玉菌は食べ物をもとに、硫化水素やアンモニアといった有害物質を作り出します。これらの有害物質は、便秘・下痢・肌荒れなどの原因となります。さらに、アミンやインドール、スカトールなどの発ガン性物質を作り出します。日和見菌は善玉とも悪玉とも言えない細菌です。日和見とは、天候の具合によって、どう行動するか決めるという意味ですが、日和見菌は腸内の状態によって、その行動が変わります。例えば、バクテロイデスという細菌は、ビタミンの合成や、病原菌から感染を防ぐ働きをしますが、腸内で食べ物を腐敗させたり、発ガン性物質を作るなどの悪さもします。体力や免疫力が低下したり、悪玉菌が増えてくると、日和見菌が悪玉菌と一緒になって悪さを始め、本来は病原性のない日和見菌で感染症になることもあります。
■腸内細菌はどのようにして繁殖しているの
腸内細菌の割合は、乳児の頃には、ビフィズス菌が優勢なのですが、離乳食が始まる頃から、年齢に伴って、悪玉菌が多くなります。腸内細菌は、腸内で繁殖した後、便と一緒に体の外に出てしまいますが(便の固形分の約30パーセントが細菌)、腸内に残った細菌が増殖します。そのため、腸内細菌のバランスは、腸の状態によって、いつも同じ割合に維持されるのです。しかし、60歳を過ぎる頃から、老化にともなってビフィズス菌が減少しウェルシュ菌が増えてきます。
最近は、肉食中心の生活によって、若年でも悪玉菌が多い人が増えています。消化されない肉類は、大腸の中で腐敗します。これをエサにして悪玉菌が増殖することになります。肉食中心の欧米人の大腸の長さは一メートルぐらいですが、野菜や穀類中心の日本人の大腸は、1.5メートルぐらいで、欧米人の腸より長めです。すなわち、日本人の大腸は、腐敗物を貯めやすく、それだけ悪玉菌を増殖させやすいわけです。
悪玉菌を抑えるには、腸内を善玉菌優勢にすることです。食物繊維、オリゴ糖を含んだ食べ物を食べましょう。食物繊維をたくさん食べれば、腸内が浄化され、悪玉菌が増殖しにくくなります。オリゴ糖はビフィズス菌が好む糖類で豆類にたくさん含まれています。また、ビフィズス菌はヨーグルトなどで摂取できます。健康維持のためにも、善玉菌優勢の腸にしておきましょう。
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