キカイダーの良心回路と正義の味方
石ノ森章太郎原作のキカイダーが映画化され公開されています。映画の題名は「キカイダー REBOOT」、 1972年のテレビ放映から42年の時を経て復活。まさにREBOOTです。
スーパーヒーローに対して「正義の味方」という呼び方があります。
「正義の味方」は月光仮面やレインボーマンなどの原作者の川内康範さんが考案したヒーローの立ち位置を表したものです。
本来、正義とは神仏のように普遍的なものであり、「正義の味方」は正義を守ろうとする者ではあるが、正義そのものではないといことです。
ですから、「正義の味方」は、悪を懲らしめ、善を助けるが、裁きはしない。
そして、「正義の味方」は誰を守るのかという点において、普遍的な正義から外れた判断や行動をせざるを得ない状況になります。
たとえば、ウルトラセブンは、地球の平和を守ることを目的として、地球人のために宇宙人と戦います。多くの場合、ウルトラセブンが倒すのは、地球を侵略しようとする宇宙人であり、正義というお題目に対して、ウルトラセブンと地球人の価値観が一致しています。
ところが、地球人が行う地球の危機回避のための行動の中には、地球人の利益にはかなうが、相手を結果的に殺戮してしまうなど、普遍的な正義から大きく外れたものが少なからずあります。こうした場合、ウルトラセブンと地球人の価値観は必ずしも一致していません。しかし、地球と地球人をこよなく愛しているウルトラセブンは、地球人と行動をともにしま。ウルトラセブン=モロボシ・ダンは、そのプロセスと結果に悩みます。しかし、決して地球人を裁くことはしないのです。つまり、ウルトラセブンは「正義の味方」であり、正義そのものではありません。
さて、キカイダーことジローの良心回路は不完全です。そのためジローは悩みます。ギルの笛の音により、善と悪の判断がつかない状況に追い込まれますが、知識と経験の積み重ねにより、良心回路の不完全な働きを補おうとします。つまり、ジローは新しい知識と経験を記憶し、その記憶によって、不完全な良心回路を補おうとする、思考アルゴリズムを有しているということだと思います。
もし、良心回路が完全だったら、キカイダーは正義そのものになり得るでしょうか。良心回路は人間が作ったものです。つまり良心回路から生み出される正義感は、良心回路の設計者の価値観であり、やはり普遍的な正義ではないだろうと思います。
キカイダーは良心回路が不完全だからこそ、「正義の味方」であり、人間に近い思考ができるのでしょう。
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