家畜のゲップが地球温暖化の原因??
家畜が地球温暖化の原因?まさかと考える人も多いと思いますが、どうやら、家畜が地球温暖化のひとつの原因になっているは間違いないようです。
家畜が地球温暖化の原因とされているのは、家畜が出すメタンガスに原因があるためです。メタンガスは二酸化炭素の約25倍の温室効果をもつ代表的な温室効果ガスで、地球温暖化防止のうえで規制の対象になっている物質です。
家畜によるメタンの発生源のひとつに糞があります。家畜の糞から発生するメタンの量を理論的に計算すると、世界で年間数千万トンにもなります。しかし、多くの家畜は野外で放し飼いであり、糞も乾燥してしまうため、計算値の1パーセントほどのメタンしか発生しないだろうと考えられています。通常の自然の状態では、全体としては家畜の糞が地球温暖化につながるとは言えないようです。
家畜によるメタンの発生源として無視できないのは、牛や羊などの反すう動物がするゲップだといいますから驚きです。全世界で飼われている牛や羊の頭数から計算すると、実に年間1億トンに近いメタンが吐き出されていることになります。この数値は世界のメタンの年間全排出量(五億トン)の20パーセントにもなる数字ですから馬鹿になりません。
どうして、反すう動物のゲップにメタンがたくさん含まれているのでしょうか。牛を例にして考えてみましょう。牛は四つの胃を持ちますが、本当の胃は四番目の胃だけです。最初の三つの胃は食道が変化したもので、胃液で食べ物を消化する働きはありません。一番目の胃には、微生物が多数生息し、飼料を分解・発酵しています。牛は、ここで分解・発酵している食べ物を口に戻して混ぜ合わせ、再び胃の中へ返します。まるで攪拌装置つきの発酵タンクのような仕組みなのですが、この発酵にともなって水素が発生します。多くの微生物は水素で働きが弱るのですが、この発酵タンクの中には、水素をメタンに変える働きを持つメタン菌という細菌が住んでいます。メタン菌は、食べ物を発酵させるだけでなく、水素から他の微生物を守り、同時に多量のメタンを作り出します。このメタンがゲップに含まれて出てくることになり、かくして家畜のゲップが地球温暖化の原因となっているわけです。
反すう動物のゲップによる地球温暖化を防ぐために、いろいろな方法が考えられています。最初に考えられたのはメタン菌を抗生物質で殺すという方法です。この方法では、メタンの発生は抑えらたものの、発酵で生じた水素で微生物が死滅し、消化不良が起き、糞からのメタン発生量が増えてしまいました。次に考えられたのが発生する水素を減らす方法です。飼料に酸を加えると、発生した水素が酸と反応して無害化し、メタン菌はメタンを作れなくなります。また、飼料に植物油などに含まれる不飽和脂肪酸を加えると、水素と結合して、同様にメタンの発生量を抑えることができます。これらの方法は牛の消化にも影響がなく、有力な手段として研究が進められています。
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