ハヤタは地球に戻り、ダンは宇宙へと旅立つ
子どもの頃の記憶をそのまま思い出してみると、ウルトラマンの最終回とウルトラセブンの最終回の受け止め方は全く違っていたように思います。
その違いはいったい何かというと、ウルトラセブンの最終回は、ウルトラマンの最終回では感じることがなかった寂しさが残ったことです。
ウルトラマンの最終回は、ウルトラマンは倒れるものの、科学特捜隊がゼットンを倒し、ゾフィーによってウルトラマンとハヤタの命が救われる。ウルトラマンはゾフィーとともに宇宙に帰り、ハヤタは科学特捜隊のもとへ戻ってくる。番組は最終回ですが、ハッピーエンドだったわけです。
一方のウルトラセブンは、ダンとアンヌの別れの感動的なシーン、傷つきながらパンドンと戦い、勝利するものの、力尽きてM78星雲へと帰っていくダン、決してハッピーエンドではありません。
BSの番組で森次晃嗣さんが最終回について「いや、凄いドラマチックだなと思いました。はぁ、すばらしいなと・・・でも明かすんだったらアンヌでしょ、ぅん、と思いましたね、ぅん、キリヤマ隊長に言ったって・・・んなもの」と言っています。
ただ、自分がそのあたりの微妙なところを映像からきちんと理解できたのは、きっと再放送だったように思います。自分はたぶん最初の放送ではそこまでは理解できていません。ダンとアンヌはこれでもう会えないんだ可哀想ぐらいの理解だったかもしれません。
では、ウルトラセブンの最終回で、どんな寂しさを感じたのかというと、やはり、ダンが宇宙へ帰ってしまったことです。ダンはウルトラセブンなわけですから、セブンがM78星雲に帰るということは、ダンも帰るということに他ならないわけです。子どもだった自分にとっては、これはウルトラマンの最終回とは決定的に違う終わり方だったと記憶しています。
これが実際どうなったというと、ウルトラセブンが終わった後、リアルな生活の中でも、ダンがいなくなったという寂しさをずいぶん引きづった記憶があります。親にダンはどうなったんだろう?とか聞いていたような気がします。
ウルトラマンはそういうふうに引きずることはありませんでしたから、黒部進さんがテレビに出ていても、ハヤタだとは思っても、特に何か特別なことを感じることはなかったのです。だって、ハヤタは地球にいるのですから。
ところが、森次晃嗣さんの場合は、まったく違いました。テレビに出てきただけで、「あっ!ダンだ!」となります。森次さんが時代劇でちょんまげを結ってでてきても、「あっ!ダンだ!」となるなわけです。
とにかく、テレビに森次晃嗣さんが出てくると、親に「ダンだね!」と確認していた記憶があります。そして、「はい、はい、ダンが出てるね」という返事に安心していたように思います。
だからと言って、単純に森次晃嗣さん=モロボシ・ダンと考えていたわけでもないように思います。森次さんが、ダンではない役を演じていることは、ちゃんと理解していたわけです。でも、姿を見ると「ダン!」となってしまうのでした。おそらく、こういう引きずり方をしたのは自分だけではないように思います。
確かテレビでレオのインタビューのときに、森次さんも、セブンをずっと引きずっていると言われていましたが、見ている方もずっと引きずっているのです。こういうヒーローはなかなかいません。それは、やはりダンがウルトラセブンそのものだったからでしょう。だから、ダンはいくつになっても、ウルトラセブンに変身して欲しいわけです。
う~ん、これは、今改めて考えると、森次晃嗣さん=モロボシ・ダンという構図は、金城さんや満田監督などを始めとするウルトラセブンのスタッフに、番組を通じて、だんだんすり込まれていったんだろうと思います。
そして、期待を裏切らずダンを演じきった森次晃嗣さんがいて、はじめてこのすり込みが本当に起きたのだろうと思います。
| 固定リンク | 0
「特撮のネタ」カテゴリの記事
- 【おもしろ映像】ジェダイのリー|もしブルース・リーがジェダイマスターだったら(2023.05.19)
- 映画「アンドリューNDR114」日本公開(2000年5月13日)(2023.05.13)
- 映画「スターウォーズ ジェダイの復讐」米国公開(1983年5月25日)(2023.05.25)
- 映画「スター・ウォーズ帝国の逆襲」米国公開( 1980年5月21日)(2023.05.21)
- 帰って来たウルトラマン放送開始(1971年4月2日)(2023.04.02)
コメント