Winny 開発は最高裁で無罪確定!
P2Pを使ったファイル共有ソフトWinny(ウィニー)を開発したことが、インターネットでの映画などの違法コピーのほう助にあたるとして、作成者の金子氏が著作権法違反ほう助罪で起訴された裁判の決着がつきました。
金子氏は2006年12月に行われた京都地裁で行われた一審では「社会に生じる弊害を顧みず、独善的かつ無責任に開発した」「著作権侵害の実態を明確に認識していた」「ほう助に当たる」という判断で有罪となりました。
しかしながら、京都地裁の判断は、著作権法違反をしたものの罪を問うのではなく、著作権違反に使われたツールの開発者の罪を問うものであり、これを有罪とすることに対して多くの疑問の声が出ていました。
Winnyは確かに著作権侵害、ウィルス感染、情報漏洩のツールとして、直接的もしくは間接的に使われてしまったという事実はありますが、これはツールの使い方の問題です。ツールを悪用した人間が罪に問われるのは当たり前ですが、ツールを開発した人間までもが罪に問われるというのは、たいへん乱暴な結論と思います。
何かソフトウェアということで特別だという意思が働いたのかもしれませんが、ソフトウェアを別のものに置き換えてみればすぐにわかることです。これがまかりとおるなら、極端なことを言えば、殺人者や障害に利用された銃刀を作成した人間も罪に問われることになってしまいます。道具の使用や規制されたり、禁止されたりすることはありますが、それを作り出した人間が罪に問われた例は聞いたことがありません。
結果的に、2009年10月に行われた二審の大阪高裁で、金子氏は逆転無罪となりました。大阪高裁の判断は、金子氏はソフトウェアがどのように利用されているかを知ってはいたが、著作権法ほう助罪が成立するには、ソフトウェアの利用状況を認識しているだけでは条件として不足であり、ソフトウェアの主要な用途として違法行為を勧める形でソフトウェアを提供していることが必要という条件を示し、金子氏はこれにあたらないため無罪としました。この大阪地裁の判断は非常に妥当なものだと思いますが、検察側は裁判結果に不服として上告していました。
2001年12月19日、最高裁判所第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は検察の上告を棄却する決定を出した。裁判官5人のうち4人が無罪と判断しました。これにより、罰金150万円を言い渡した1審が破棄され、逆転無罪とした二審の大阪高裁判決が確定します。
この裁判によって、金子氏が個人的に非常に大変な思いをしたのは言うまでもないことですが、ITの活用やソフトウェアの開発や公開のあり方など、社会的に失われたものは大きかったのではないかと思います。
しかし、この裁判の確定により、金子氏の努力により、改めてIT活用やソフトウェア開発の姿勢が法的に正しく理解されたと言えるでしょう。金子さん、本当にお疲れ様でした。
関連記事:Winnyの開発者 二審で無罪に
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