鉄道信号の基本的な仕組み
鉄道の安全の基本は正確な時刻表運行
路線上を走る全ての電車が安全に走行するうえで重要なことは、それぞれの電車が決められた時刻表に従って運行することです。鉄道の時刻表はダイヤグラム(ダイヤ)といい、すべての列車はある区間をダイヤグラムで定められた時刻にしか走行することができません。つまり、ある列車が走行している区間には他の列車は走行できないようにダイヤグラムが作成されています。ですから、ダイヤグラムの運行計画に基づいて列車が運行している限り列車同士の衝突事故は起きません。
しかしながら、実際にすべての列車がダイヤグラム通りに運行しているかどうかはわかりません。そこで、全ての列車の運行状況が常に監視されています。最近ではコンピュータや通信手段の発達により、列車の運行状況がリアルタイムに把握できるようになっています。列車が遅れた場合にはダイヤグラムを変更したり、臨時列車を走らせたりすることが可能になっています。
鉄道信号の基本的考えは「閉そく」
列車の安全な運行に重要な役割を果たすのが鉄道信号です。前述の通り、線路は一定の区間ごとに管理されています。ひとつの区間には1つの列車しか入れないよう決められています。この区間のことを「閉そく区間」と言います。 この「閉そく区間」の考えに基づいて列車を安全に走行させる重要な働きをしているのが鉄道信号です。
在来線の「閉そく区間」と信号の関係は次の図のようになっています。
図から分かるとおり前方に電車が存在する場合、電車の直後の閉塞そく区間の信号は赤色、その次の閉そく区間の信号は黄色、その後ろの閉そく区間の信号が青色となります。
首都圏の路線は列車数が多いため、灯火を上から黄・黄・赤・黄・青とした5灯式の信号も使われています。例えば青と黄の同時点灯は減速、黄2つで警戒などの意味があります。3灯式の信号機より、より細かく列車の運行を制御することができます。運転手はこのような信号表示に従って列車を走らせています。
なお、信号機を制御するためには列車の位置を正確に把握する必要があります。線路のレールには電流が流れており、列車がやってくると車輪で電流が短絡します。これを利用して、列車の現在地を把握して信号機を作動させています。
また、故障などにより信号機が消灯している場合、その停止信号(赤)と見なします。この場合、列車は、列車無線などにより運転指令所の指示を受けたときに、停止信号をこえて進むことができます。これを閉塞指示運転といいます。
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