食品添加物の成分表示でキャリーオーバーとは
醤油味のせんべいの袋の成分表示を見てみましょう。醤油が使われていることが表記されています。続いて、醤油の成分表示を見てみましょう。多くの醤油には、保存料として安息香酸ナトリウムが食品添加物として使われていることがわかります。しかし、醤油味のせんべいの成分表示には、醤油に使われている食品添加物は表記されていません。
食品表示法の食品表示基準では食品に使用した添加物は原則として明記しなければならないことになっています。ただし、食品添加物が(1)加工助剤として使われる場合、(2)キャリーオーバーとなる場合、(3)栄養強化目的で使用される場合には、その表示が免除されます。醤油味のせんべいの成分表示に醤油に使われている食品添加物が表記されていないのは、それらの食品添加物が(2)キャリーオーバーと見なされ表示が免除されているからです。どのような場合に食品添加物がキャリーオーバーと見なされるのでしょうか。
私たちが日常食べている加工食品の成分表示を見てみると、原材料の名前、そして使用されている食品添加物の名前が記載されています。食材として含まれているものや、調味料として使われているものはすべて原材料です。そして、それらの原材料にも食品添加物が使われています。
食品そのものに食品添加物が使用されていなくても、原材料に食品添加物が使用されているケースはたくさんあります。さらに、その原材料をつくるのに使った原材料にも食品添加物が使われているでしょう。このように考えると、食品を製造するのに使われた添加物の種類は決して少なくありませんが、それらの添加物を裏ラベルにすべて明記する必要があるのでしょうか。
実は原材料に使用された添加物の場合には、原材料からの持ち越し物質として表示が免除される場合があります。それがキャリーオーバーです。キャリーオーバーとは、原材料に使われた添加物が最終的な食品に混入する量が、その添加物が効果を発揮する量より明らかに少ない量しか含まれていないもののことです。
最初に説明したせんべいの醤油中の安息香酸ナトリウム(保存料)は、せんべい全体ではごく微量で、それがせんべい全体の保存に役立っているとは言えないという判断からキャリーオーバーと見なされ、その表示が免除されています。もし、せんべいの保存のために、せんべいそのものに保存料が使用された場合には、その保存料はキャリーオーバーとは見なされず、裏ラベルに表記しなければならないことになるわけです。
キャリーオーバーの表示免除には消費者側からの問題提起があります。食品に使用した添加物はたとえその量がわずかであっても表示するべきという主張です。消費者は食品に使われた添加物を知ることができるようになりますが、どこまで表示すれば良しとするのか判断が難しい面もあるようです。
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