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2011年6月20日 (月)

セルロイドとパークシン ニトロセルロースから作られたプラスチック

 世界で初めて開発された実用的な合成樹脂は、アメリカの印刷業者ジョン・ハイアット(John Wesley Hyatt,1837–1920)が開発したニトロセルロース(注1)を主成分としたセルロイドと考えられています。

 19世紀の中頃、アメリカでビリヤードが大流行していました。当時、ビリヤードのボールは象牙製のものが使われていましたが、象牙から取れるビリヤードボールの数はわずかであり、貴重な象牙はすぐに不足しました。そこで、ビリヤードボールの製造会社は、象牙に代わる素材の開発に1万ドルの懸賞金をかけました。

 アメリカの印刷業者ジョン・ハイアット(John Wesley Hyatt,1837–1920)は懸賞金を獲得するべく、新しい素材の研究に着手しました。彼は水絆創膏のコロジオン(注2)の主成分であるニトロセルロースに注目しました。ニトロセルロースに何か他の物質を混ぜることによって、ビリヤードボールの素材として使えるようにならないか研究したのです。1869年、ハイアットはニトロセルロースに樟脳を混ぜることで象牙に代わる合成樹脂を作り出し、これをセルロイドと名付けました。

 セルロイドは熱をかけると可塑性を示し、自由な形にすることができたため、優れた素材となりました。ハイアットはセルロイドの製造を工業化し、セルロイド製の商品をたくさん作り出しました。

 しかし、セルロイドは火薬の原料に使われるニトロセルロースが主成分であり、極めて燃えやすいという欠点があります。そのため、セルロイドは第二次世界大戦後までは大量に生産され利用されましたが、現在はほとんど使われていません。ただし、ピンポン玉だけはセルロイドの代わりとなる素材がなく現在でもセルロイドが使われています。

 世界で初めて開発されたプラスチックはイギリスのアレクサンダー・パークス(Alexander Parkes,1818-1890) が開発したニトロセルロースを主成分とするパークシンとも言われます。しかし、パークスは生産コストの問題でパークシンを実用化できませんでした。

 セルロイドは人類が初めて作り出した実用的なプラスチックと考えることができます。パークシンもセルロイドも天然のセルロースを原料としているため、厳密には人工的に作り出したプラスチックとは言い難い面があります。

 そのため、天然の素材を利用して作られたプラスチックは半合成樹脂または半合成プラスチックとも呼ばます。

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