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2011年6月24日 (金)

輸入オレンジやレモンに使われている防カビ剤

 外国の農園では日本への輸出向けのオレンジやレモンなどの柑橘類が収穫された後にベルトコンベアの上を転がりながら流れていきます。このベルトコンベアにはスプリンクラーが取りつけられていて、液体が吹き付けられています。日本の農園でも収穫されたミカンなどにワックスが噴霧されることがありますが、外国の農園ではワックスの他に防カビ剤が噴霧されています。なぜ防カビ剤を噴霧する必要があるのでしょうか。

 外国で生産された柑橘類やバナナは、輸入コスト削減のために、原産国から日本へ船舶を使って長い時間をかけて運ばれてきます。その間にカビが発生するのを防ぐため、防カビ剤が使われるのです。

 この防カビ剤は、外国ではポストハーベスト農薬という位置づけです。ポストハーベスト農薬は収穫後農薬ともいいますが、日本では「農薬」はあくまでも農作物を生産するために使うもので、収穫後に使うことは原則的に許されていません。

 日本では収穫後に使われる化学物質は「農薬」としてではなく「食品添加物」として取り扱われます。したがって、食品添加物としての使用が認められていれば、使用されている量が安全基準内である限り法律的には問題はありません。

 さて、輸入オレンジやレモンに使用されている防カビ剤にはOPP、TBZ、イマザリルなどがあります。これらの化学物質が輸入オレンジやレモンに使用されているということがわかると、国内では大きな問題となりました。当時、日本ではこれらの化学物質が食品添加物として許可されておらず、食品衛生法に違反していたのです。

 当初、日本の厚生省は安全性が認められるまで認可しないという立場を取りましたが、緊迫する日米貿易摩擦の中、米国は「安全性が認められている」として日本の姿勢を批判しました。その後、厚生省は科学的実験による調査が完了、人体への影響が否定されたとして、それらを食品添加物として認可しました。一方で、日本が米国との貿易摩擦に負けて、毒性がある物質の使用を認可したのではないかという批判の声もありました。

 さて、これら防カビ剤は食品添加物として扱われるわけですから、使用されている商品には成分表示をしなければなりません。ところが、食品衛生法では、店頭でバラ売りをする食品については表示義務がありません。そのため、かつては防カビ剤が使われているのにも関わらず、その表示がされずに販売されていました。

 現在では、平成8年5月に厚生労働省から通知された「食品衛生法に基づく添加物の表示等について」に従って、 防かび剤を使用した柑橘類やバナナについては、たとえバラ売りであっても値札や陳列棚にわかりやすく表示をしなければならないことになっています。

 防カビ剤はとりわけフルーツの皮に付着しています。普通は皮をむいて食べるので、あまり気にしなくも良いのではと思う人もいるかもしれませんが、オレンジでマーマレイドを作るときや、レモンを紅茶に入れるときにはよく洗うようにしましょう。    

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