セシウムが発見される
2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響による福島第一原子力発電所の事故によって、「セシウム」という元素名が広く知れ渡るようになったと思います。
セシウム(caesium)は元素記号がCs、原子番号55の元素です。周期表ではナトリウムと同じ族(縦方向の仲間)に属するアルカリ金属です。非常に柔らかくて延性に富んだ銀色をしたアルカリ金属です。反応性に富み、空気中でも酸化されて黄色味を帯びます。粉末だと自然発火します。また、禁水性物質で水と激しく反応します。
セシウムは1860年にドイツの化学者ウィルヘルム・ブンゼンと物理学者のグスタフ・キルヒホフによって発見されました。彼らは濃縮した鉱泉の水を炎色反応させ、炎色反応で生じた光のスペクトルを調べました。すると、鉱泉に含まれているリチウムやナトリウムなどのアルカリ金属とは異なる青色の輝線スペクトルが存在することを発見しました。この発見された物質の炎色反応が青い色の光を出すことから、ラテン語で青色を意味するセシウムと名付けられました。ブンゼンとキルヒホフが発見したセシウムは唯一天然に存在する安定同位体のCs133です。
Cs133は原子時計としても使われ、国際単位系の時間の単位の秒を定義するのに使われています。また、電波時計の標準電波はCs133の原子時計をもとに作られます。
セシウムは原子量が112から151までの39種類の放射性同位元素があります。環境中に主に存在しているのはCs134とCs137です。Cs134は半減期が約2年でCs133が中性子をとらえると生じます。Cs137は半減期が約30年でウランの核分裂によって生じます。ですので、Cs137は核実験が行われる以前は地球上に存在していませんでした。使用済み核燃料から放出される放射性物質の大部分はCs137で占められます。
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