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2011年4月 3日 (日)

紙おむつや止水材が大量の水を吸収できる仕組み

■紙オムツを分解

 紙オムツを分解すると、中から白い粉がたくさんでてきます。この白い粉をビーカーに入れて水を入れると白い粉が水を吸って固まります。この白い粉の正体は高吸水性高分子または吸水性高分子と呼ばれる物質です。高吸水性高分子は大量の水を吸水し内部に保持することができます。高吸水性高分子が吸水できる量は自重の数百倍から千倍以上にもなります。多少の力で振ったり圧したりしても水が漏れ出ることはありません。

■高分子とはどのような物質か

 水H2Oは水素原子H2と酸素原子O1つからなる小さな分子でできていますが、物質には大きな分子からできているものもあります。例えば、生物の体を作っているタンパク質・脂肪・植物繊維や私たちが生きていくうえで重要な栄養源である砂糖やデンプンはとても大きな分子です。このような分子を高分子といいますが、自然界には高分子でできた物質がたくさん存在しています。

 高分子には人工的に作られたものもあります。たとえば、プラスチックも高分子からできていますが、プラスチックはたくさんの簡単な分子を繰り返してつなげて作られたものです。次の図はポリエチレンというプラスチックの分子構造を示したものです。ポリエチレンは炭素原子2つと水素原子4つから成るエチレンという化合物から作られます。数千から数万のエチレンの分子をつなげて作ったものがポリエチレンです。

ポリエチレンの構造
ポリエチレンの構造

■高分子吸収体が多量の水を吸収するのは

 高分子吸収体もポリエチレンのように人工的に作られた高分子物質です。高分子吸収体の分子は次の図のような網目状の構造をしています。この網目構造は3次元的で水が存在しないときは絡み合って小さくなっています。

高分子吸収体の網目構造のイメージ
高分子吸収体の網目構造のイメージ図

 この網目に水を加えると、網目の中に水分子が入り込んでいきますが、このとき網目から陽イオンがでてきます。網目の中には陰イオンが残るのですが陰イオン同士が電気的に反発するため網目構造がさらに広がります。そのため多くの水を吸収することができるようになります。このとき、高吸水性高分子はゲル状になるので水は流れ出てきません。このようにして高吸水性高分子はたくさんの水を吸水することができるのです。

 高吸水性高分子は陽イオンを含んだ水溶液の吸収・保持は良くありません。水を保持しているポリアクリル酸ナトリウムという高吸水性高分子に食塩をかけると、陽イオンのナトリウムイオンが網目構造に入り、そのかわりに保持されていた水が網目から追い出されて流れ出てきます。

 高分子吸収体は身近なところでは紙おむつ、生理用品の他、ペットのトイレ、携帯用トイレ、消臭剤、ソフトコンタクトレンズなどに使われている。また、農業や園芸で土に水をよく保持させるめの保水剤や、土木工事用の止水剤としても利用されています。

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