ものを燃やすと重さはどうなる? フロギストン説は間違いだった
紙や木を燃やすとメラメラと炎があがり、やがては灰になります。燃やす前の紙や木の重さと燃えたあとの灰の重さを比べると、灰の重さの方が軽いことはすぐにわかります。
300年前の科学者たちはこの現象を見て、ものが燃えるというのは、ものから何かが抜け出て行くことだと考えました。西暦1700年ドイツの化学者シュタールはこの出て行くものが燃えるもとになるものと考え、「火をつける」というギリシア語にちなんでフロギストンと名づけました。そして、ものが燃えるしくみを「フロギストン説」としてまとめました。
ところが、このフロンギストン説ではどうしても説明できないことがありました。それは金属を燃やしたときの現象でした。金属を燃やすと金属灰になります。フロギストン説では、金属灰の重さはもとの金属の重さに比べて軽くならなければなりません。しかし、実際には、金属灰はもとの金属より重くなります。
フロギストン説では金属が燃えるしくみを説明することができなかったのです。当時は、ものが燃えることを説明するのは簡単ではなく、また正確に重さを測ることが重視されていませんでした。そのため金属を燃やしたときの説明が十分にできないままでも、フロギストン説は多くの科学者に支持されたのです。
その後、フランスの化学者ラボアジエは実験に天びんを使い正確に質量を測ることによって、ものが燃えるしくみを明らかにしようとしました。1772年、彼は空気を入れて密閉した容器の中に金属以外のものを入れて燃やしたところ、容器全体の重さは変化がないのに、燃えた後のものが重くなることを見つけました。
彼はものが燃えて重くなるということは、ものがその重さ分だけの何かと結びついているはずだと考えました。実験を繰り返した結果、彼はものが重くなった分だけ密閉した容器の中の空気が失われていることを突き止めたのです。彼の実験によって、ものが燃えるというのは、ものからフロギストンが出て行くのではなく、ものが空気の一部と結びつくことであることが分かったのです。そして、彼はその結びつくものを酸のもとになるものと考えて、酸素と名付づけました。
それでは紙や木を燃やしたときに、灰が軽くなるのはどうしてでしょうか。空気を入れて密閉した容器に紙を入れて燃やすと、やはり容器全体の重さは変わりません。灰の重さを測ると、確かにもとの紙よりも軽くなっています。しかし、同時に空気の中に炭素と酸素が結びついた二酸化炭素ができていることが分かります。紙や木には炭素が含まれているので、燃えると二酸化炭素が発生します。一方金属は酸素を含まないので、燃えても二酸化炭素が発生しません。紙や木は灰と二酸化炭素になっていたのです。
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