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2008年9月19日 (金)

汎用の携帯電話のデジカメも1000万画素の時代に

2008年9月18日の日経産業新聞の1面に出ていました。

携帯電話に登載されているデジカメのレンズはプラスチック製で非球面のモールドレンズです。モールドという言葉からわかる通り、これは型を使った成型によって作られます。

ちょっと乱暴な図ですが、下記のような感じです。

493_3

この図のように凸型と凹型の金型の間に溶けたプラスチックを挟んで押しつけて、レンズの形を作ります。型の形を自由に、かつ精巧に作ることができるようになったため、小さな非球面レンズが作れるようになったのです。

さて、この図を見るとわかると思いますが、どんなに精巧な型が作れても、型と型をまっすぐにぴったりと重ね合わせることができなければ精巧なレンズは作れません。

これを実現できる技術ができたため、携帯電話に登載できるような小さなレンズが作れるようになったのです。

ところが、上の図の金型には解決できない問題がありました。それはレンズの中心合わせです。凸型と凹型の金型をあわせるときのわずかなズレで、レンズの中心がレンズの表と裏で2~3マイクロメートルぐらいずれているのです。極端に描くとこのような感じです。

Convex1gif

レンズの中心がズレているということは、光軸がずれていることになりますから、レンズでできる像がぼやけることになります。

これは現在の携帯電話のデジタルカメラではほとんど問題になりません。

しかし、携帯電話のデジタルカメラの画素数をあげていくと問題が起こります。画素数を大きくするということは、光を受けるセンサーのひとつひとつの画素が大きさが小さくなるということです。つまり、レンズの中心のわずかなずれで像がぼやけることになります。

きれいな写真が撮れるようにするためには、レンズの中心のずれをできる限りおさえる必要があります。これは可能ですが、量産が難しいという問題がありました。

この問題を解決するべく、宮崎県の東伸精工という会社が、レンズの中心のずれを極力おさえて量産できる金型を開発しました。

これもまた乱暴な図なのですが、こんな感じです。

493_4

この図のように凸型の金型にベアリングを入れて押すような工夫がされています。また、凸型の金型のわずかなずれを感知して、右側の凹型の金型の位置を自動的に微調整できるようになっているそうです。これによって、レンズの表と裏での中心のずれを0.5マイクロメートル程度までにすることができるようになったそうです。

中心のずれが小さいということは、像を綺麗に造れるということです。しかも、量産できるわけですから価格も従来と同じぐらいすることが可能です。つまり、汎用の携帯電話のデジカメの画素数を飛躍的に向上させることができるというわけです。

携帯電話 カメラ 1000万画素 でGoiogle検索すると、下の方に1000万画素のカメラを登載したデジカメが出てきます。実際にはもうあるらしいのですが、これらはおそらくセンサーが大きいのではないかなと思います。あるいはレンズを丁寧に作っていて量産の汎用の携帯電話という感じではないのかもしれません。

小さなレンズというとCDやDVDのピックアップにも使われています。より高密度なブルーディスクは屈折率の関係でガラスのレンズを使っているそうですが、この技術を使えばプラスチックのレンズも使えるようになるそうです。

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コメント

コメントありがとうございました(^^♪

いやいや、あの新聞記事を読んで図が書けるなんて凄いですね!
記事を読んでも、中心が精密にとれるようになったことだけしか理解していなかった私とは大違いです(~_~;)

図があるとやはり分かりやすいですね。
解説ありがとうございました。

投稿: Orca | 2008年9月19日 (金) 14時54分

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