消しゴムと酸素と炭酸水
現在、私たちが使っている消しゴムは合成樹脂でできていますが、名前がそうであるように昔は天然ゴムから作られていました。
天然ゴムはブラジル原産のゴムの木の樹液を固めたものです。古くは紀元前から使われていました。マヤ文明やアステカ文明では、天然ゴムで作ったボールを使って「トラチトリ」というフットボールに似たボール競技が行われていたそうです。
1493年にコロンブスが第2回目の航海でジャマイカに立ち寄った際に、原住民が天然ゴムで作ったボールで遊んでいるところを発見したことで、天然ゴムがヨーロッパに伝わりました。
しかし、その後約300年の間、天然ゴムは特に利用価値も見出されず、希少品として扱われるのみでした。天然ゴムが初めて道具として使われたのは1770年です。その頃、すでに鉛筆が発明されていましたが、鉛筆を消すのにパンが使われていたそうです。
イギリスの科学者ジョゼフ・プリーストリーは天然ゴムを使うと鉛筆で書いたものを消せることに気がつき、1772年に消しゴムを作りました。この天然ゴムを使った消しゴムはあっという間に世界中に広まりました。ゴムのことを英語でRubberといいますが、これはrub out(文字を消す)という言葉が語源になっているそうです。
プリーストリーは1774年(つまり消しゴムを作った2年後)に、酸化第二水銀(HgO)という物質を加熱したときに出てくる気体を使うと、ものをよく燃やすことができることに気がつきました。また、その気体の中でネズミを飼うと長生きすることにも気がつきました。プリーストリーはこのことをフランスの科学者ラヴォアジエに報告し、ラヴォアジエはこの気体を使ってものが燃える仕組みを解き明かし、この気体のことを酸素と名付けました。
プリーストリーは1733年に生まれ、1804年の今日2月6日に亡くなりました。ということで、今日はプリーストリーの命日です。プリーストリーは酸素の発見で有名ですが、消しゴムの発明者でもあったわけです。また彼は炭酸水の発明もしています。
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