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2008年1月17日 (木)

再生紙の古紙使用率の偽装

大手製紙会社の再生紙の古紙の使用率の偽装というニュースが飛び込んできました。また「偽」の字の事件です。

--朝日新聞社 asahi.com(2008年01月16日22時34分)から引用--
日本製紙の再生紙の年賀はがきが契約で決めた古紙の配合率を大幅に下回っていた問題で、日本郵政は16日、08年用年賀はがきに限らずすべての再生紙はがきについて、全納入メーカーが契約内容より低い配合率で納入していたと発表した。日本製紙の問題をきっかけに調べたところ、北越製紙、三菱製紙、大王製紙、王子製紙の各社でも同様の「偽装」が判明した。日本郵政は「配合率40%」で発注しているが、高いメーカーでも20%だったという。
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最初、このニュースを聞いたときは、回収された古紙が中国などに流れていて、古紙が不足しているのかなと思いました。だとしたら、社会的な構造の問題もあり、製紙会社だけの問題ではないなと思いました。

ところが、新聞の記事を見ると、その理由は違いました。古紙の使用率があがると、紙の品質が維持できない。そのため規定量の古紙を使わなくなったということです。

--朝日新聞社 asahi.com(2008年01月16日22時34分)から引用--
日本製紙によると、再生紙はがきが一部で使われ始めた92年当時、工場で発生する「損紙」も古紙として使うことで「40%」を実現できると見て受注したが、損紙が古紙として認められないことが判明。「コンプライアンス(法令順守)より、配合率を下げて品質を確保することを優先した」(中村社長)という。他社も同様の釈明をしており、いずれも近く社内調査に着手する。
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当初、製紙会社は工場で端材として出てくる「損紙」を古紙として扱うことができると考えていたようです。つまり、(損紙+本当の古紙)を古紙とすれば、規定の古紙使用率でも高品質の紙が作れると考えていたわけです。しかし、損紙が古紙でないとなると、本当の古紙の含有率をあげざるを得ないことになります。本当の古紙の含有率をあげると、紙の品質が維持できなくります。紙の品質を維持するためには、古紙の含有率を下げざるを得ないということになります。ここまでの話の流れは特に問題があるとは思えません。

問題なのは本当の古紙の含有率が下がっているのにもかかわらず、古紙使用率を偽っていたということです。

ということで「偽装」ということになってしまうのですが、どうもメーカー側の「偽装」ということだけで片付けてしまうのも、ものたりないように思います。

「損紙を古紙として扱うことができないなら、紙の品質を維持することは技術的に困難」ということがわかっていたのですから、日本郵政には「古紙使用率40%の紙では年賀状は納入できない」と申し出ればそれまでのことです。

メーカー間での競走、グリーン購入法で定められた規程の含有率などが、製紙会社が「古紙使用率40%の紙では年賀状は作れない」ということを申し出る勇気の妨げになったのでしょうか。

大手製紙会社すべてが古紙40%では年賀状は無理と考えていたわけです。紙の専門集団が40%は無理と考えていたわけです。そもそも、いったいどういう判断で年賀状は古紙40%と決まったのでしょうか。どうして、損紙が古紙ではないとなった時点で修正されなかったのでしょうか。なんだか、いろいろな食い違いが「偽装」ということにつながってしまったように思えます。

【追記】

そういえばコストの問題も見逃せません。再生紙の方が普通紙よりも手間がかかるので、価格が高くなります。製紙会社は価格をそのままで納入していたのでしょうから、これは大きな問題です。100%牛肉に豚などの肉を入れて売っていたのと構造は同じかも・・・

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