無限遠にある物体は凸レンズでどのように実像を結ぶか
▼点光源から出る光はどのように伝わるか
物体の1点から出る光は四方八方に広がります。下の図は点光源から出る光の波の広がりを簡単に示したものです。
光の波の広がりから、波の進行方向に切り出した直線が光線です。点光源から出る光線を青い線で示したました。この波の広がりが無限遠まで届くとき、同心円状に広がる波面はほとんど平面になります。地球は大きな球体なのに、地面が地球上で生活する私たちにとって平面であるのと同じです。図からわかるとおり、無限遠では点光源から出て四方八方に広がる光線は平行となります。
▼物体が凸レンズから有限距離にあるときにできる実像
上の図の点光源が凸レンズから有限の距離にある場合は、点光源から出る光線は、それぞれ角度をもった光線として凸レンズに入ります。。下図の青い光線が上図の点光源から出る青い光線に相当すると考えてくだ
さい。下図の物体は点光源ではなく、ある大きさをもつ物体にしてあります。物体の上端から出る光線を緑色の線、物体の下端から出る光線を赤色の線で示しました。物体の実像(倒立像)が焦点の外側にある像面上にできることがわかります。
物体が有限の距離にある場合の実像のできかたは、中学理科や高校物理で学ぶ凸レンズでできる像の作図と同じです。一般に下記の3つの光線を使って作図を行います。
①光軸に平行な光線は凸レンズの後側の焦点を通る
②凸レンズの中心を通る光はそのまま直進する
③凸レンズの手前側の焦点を通る光線は光軸に平行に進む
▼物体が凸レンズから無限遠にあるときにできる実像
物体が凸レンズから無限遠にある場合、点光源から出る青い光線は平行光となってレンズに入ります。この場合、物体が凸レンズから有限距離にあるときとは、実像(倒立像)のできる位置が変わります。
下図の青い光線が最初に示した図の点光源から出る光線に相当すると考えてください。青い光線は光軸に平行に凸レンズに入り、焦点に集まります。物体の上端から出る緑色の光線と下端から出る赤色の光線は、それぞれ傾きのある平行光としてレンズに入り焦平面上の1点に集まります。
赤・緑・青の線は焦平面を過ぎると、2度と同じ位置に集光しません。ですから、実像(倒立像)のできる位置は焦平面上になります。すなわち、像ができる面と焦平面が一致することになります。実像が焦平面と同じ位置にできても、実像は倒立像になることがわかると思います。
カメラのレンズがフィルム面に結ぶ実像などは、前述の中学理科や高校物理で学ぶ実像の結び方とは違うので注意が必要です。
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