ロバート・フックの顕微鏡
レンズを複数使う複式顕微鏡は1590年頃にヤンセン親子によって発明されました。ヤンセン親子は2つの凸レンズを組み合わせると凸レンズ1枚よりも物体を大きく拡大することができるということに気がついたのです。その後、多くの職人によって複数のレンズを使った複式顕微鏡の開発が進められましたが、性能がルーペの域を出なかったため科学のツールというよりは高級な工芸品として広まりました。その背景には、当時の人々の関心は、遠くのものを見たり、天体観測をしたりするために使われる望遠鏡にそそがれていたことなどがあったとも言われています。ものを大きく見るのは凸レンズ1枚のルーペによる拡大で十分だったのでしょう。
人々の目をミクロに世界に向けるきっかけはイギリスのロバート・フックが作りました。彼は拡大率が数十倍の複式顕微鏡を作り、さまざまな動植物の観察を行いました。このとき、彼はコルクに無数の小さな部屋があることを発見し、その部屋のことをcella(ラテン語で細胞という意味、英語ではcell)と名付けました。フックの1665年の著作「ミクログラフィア」には実に100点を超える動植物の拡大写真が掲載されています。
ロバート・フックが使った顕微鏡のレプリカが学研の大人の科学Vol.5の付録についていました。本の価格は1,680円ですがこの価格でよくここまでまとめているなと感心しました。
ロバート・フックの顕微鏡は写真右側の顕微鏡部分と左側の照明装置部分からなっています。照明装置には、ランプと水球のレンズを使ったそうです。このモデルではランプの代わりにロウソクになっています。詳しい解説は【関連記事】にあります。
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