食品にも界面活性剤が使われているの?
水と油を混ぜてもすぐに分離してしまいますが、これは水と油が溶け合わないためです。 油のついたフライパンを洗剤を使って洗うと油がよく落ちるようになるのは、洗剤の中に界面活性剤が含まれているからです。
洗剤に含まれている界面活性剤の分子は、水になじむ部分(親水基)と、水となじみにくい部分(疎水基:油になじむということで親油基ともいいます)からなります。図のようにマッチ棒のような形をしています。そのため、界面活性剤は水と油を結びつける「かすがい」のような働きをします。
牛乳は水の中に乳脂肪の細かな粒子が分散した液体です。牛乳はそのまま放置しておいても水と脂の相に分離しませんが、界面活性剤が加えられているわけではありません。牛乳に含まれているたんぱく質が界面活性剤の働きをしています。牛乳と同じように天然の物質が界面活性剤の働きをしている食品にマヨネーズがあります。卵黄のレシンンが界面活性剤の働きをし、マヨネーズが水と油に分離するのを防いでいます。
食品には水と油(脂)の性質を持った物質が混ざり合ったものがたくさんありますが、界面活性剤の力を借りなければ作れない食品もたくさんあります。食品の成分表示を見ると乳化剤という食品添加物が加えられているものがあることに気が付くと思います。この乳化剤の正体が界面活性剤です。身近な食品ではアイスクリーム、インスタントカレー、マーガリンなどに使われています。
食品に使われる界面活性剤は人体への安全性が確認されており、かつ十分に界面活性剤の働きをするものでなければなりません。日本では食品に使う界面活性剤を食品衛生法で乳化剤として定めており、①ショ糖脂肪酸エステル、②ソルビタン脂肪酸エステル、③グリセリン脂肪酸エステル、④プロピレングリコール脂肪酸エステル、⑤ステアロイル乳酸カルシウム、⑥レシチンなどの天然の界面活性剤の六分類の使用が認められています。このうち⑤には使用制限がありますが、⑤以外は人体に対する安全性が高いという理由から使用に制限がありません。例えば、ショ糖脂肪酸エステルは体内に取り込まれると無毒のショ糖(砂糖)と脂肪酸(油は脂肪酸とグリセリンからできています)に分解されます。合成界面活性剤だからと言って直ちに危険と判断するのは誤りというひとつの例と言えるでしょう。
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