レンコンの穴はなんだろう?
レンコンは蓮(ハス)という水生植物の一部分です。ハスは水田と似たような泥沼の蓮田(はすだ)で栽培されます。蓮田の一面はハスの花と葉で覆われていますが、その花と葉の下に埋もれた泥の中から掘り出されるのが、私たちが食べているレンコンです。レンコンは漢字では蓮根と書きます。蓮(ハス)の根と書きますが、レンコンは実はハスの根ではなくて茎(地下茎)です。
次の写真は東京都上野の不忍池です。ハスが水面いっぱいに広がっています。
レンコンを輪切りにすると、大きな穴がいくつかあいています。熊本では、この穴に辛子などをつめた「辛し蓮根」という食べ物もあります。穴があいているレンコンだからこそ作れる食べ物です。
この穴はいったいどんな役割をしているのでしょうか。植物の茎には、根から吸収した水分や肥料分を運ぶための道管と、葉で作られた栄養分を運ぶための師管という通り道があります。道管と師管をあわせた部分の組織を維管束といいます。
レンコンを輪切りにすると、断面から細い糸のようなものがでてくることがあります。写真の糸のようなものが見えるでしょうか。これがレンコンの道管です。ということはレンコンの大きな穴は道管ではないということです。師管でもありません。
レンコンの断面には個体差はありますが真ん中に小さめの穴が1個、その周りに比較的大きめの穴が9つあることがわかります。 植物も生物ですから呼吸をしています。酸素が体中に行き渡らないと細胞が死んでしまいます。レンコンの大きな穴は葉で取り込んだ酸素を茎や根に送るための通気孔なのです。
しかし、多くの植物の茎にはレンコンのように大きな通気孔は見られません。どうしてレンコンは他の植物と違って大きな通気孔をもっているのでしょうか。レンコンに大きな通気孔があるのは、ハスが泥沼で生きる水生植物だからです。泥沼の中は畑などの普通の土の中と比べて、酸素の量が不足しています。 普通の土で生きる植物の地下茎や根は、土の中から酸素を十分に取り込むことができますが、ハスのような水生植物の地下茎や根は十分な酸素を取り込むことができません。不足分の酸素を葉から運ぶ必要があるのです。そのため、レンコンの空気孔が大きく発達しているのです。
| 固定リンク | 0
「植物の豆知識」カテゴリの記事
- セイタカアワダチソウ(2024.10.29)
- キバナシュクシャ(ジンジャーリリー)(2024.10.22)
- ヒガンバナ(彼岸花)(2024.10.12)
- クズ(葛)の花(2024.09.26)
- 午後4時の花|オシロイバナ(2024.08.30)
コメント