複眼の見え方|昆虫の目で見える世界
昆虫の眼は、個眼という小さな眼がたくさん集まった複眼と単眼の二種類があります。複眼を構成する個眼の数は昆虫の種類によって異なりますが、アリで約100~1000個、ショウジョバエで約1000個、ミツバチで数千個、チョウやトンボでは1万個以上にもなります。多くの昆虫は複眼の間にいくつかの単眼をもっていますが単眼をもたないものもいます。複眼はものを見るための眼ですが、単眼は光の明るさを感じる働きをします。
下の写真は、アリの顔を電子顕微鏡で拡大した写真と、アリの複眼の透明標本の写真です。この写真は知人に提供してもらいました。
アリの眼は5つあり、複眼が2つ、頭頂部に3つの単眼をもっています。複眼の拡大写真を見ると個眼ひとつひとつの形が六角形になっていることがわかります。もし個眼が丸い形だとすると光を取り入れることができない隙間ができてしまうことになります。六角形は隙間なく個眼が並ぶため効率的に光を捉えることができるのです。
昆虫は複眼でどのようにものを見えているのでしょうか。よく複眼の見え方の例として次の図のようにひとつひとつの個眼に物体の像をひとつずつ描いた図を見ることがあります。
しかし、実際には、ひとつひとつの個眼で物体を見ているのではなく物体全体を複眼全体で捉えています。つまり、個眼ひとつひとつには、物体の各部分の倒立した像ができていることになります。あるいは、もっと単純に、まるでデジタルカメラのイメージセンサーのように個眼ひとつひとつで物体の各部からやってくる光を捉えていると言った方がわかりやすいかもしれません。昆虫の複眼は視細胞のひとつひとつにレンズが付いたものと考えることができます。
次の写真は昆虫が花を見たときにどのように見えるかを想像して描いたものです。昆虫の複眼はものをはっきりと見ることはできず解像度も低いのですが、複眼の大きさや個眼の配置を考えると視野がかなり広いはずです。また動く物への反応が高いと考えられています。
複眼で花を見たときには次のように見えていると考えられます。
トンボなどが虫を狙っているときには次のように見えているでしょう。
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