白熱電球の原理と仕組み
電灯の基本原理
電灯にはたくさんの種類がありますが、いかなる電灯でも「電気エネルギーを光エネルギーに変換する」という共通の原理を持っています。
電灯は電気エネルギーを光エネルギーに変換する方法(発光原理)によって分類することができます。ひとつは熱放射を利用したものであり、もうひとつはルミネセンスを利用したものです。一般に熱放射を利用した電灯を白熱電灯とよび、ルミネセンスを利用した電灯を放電灯とよびます。ここで解説する白熱電球は熱放射を利用した電灯です。
熱放射とは
電熱線に電流を流すと熱が発生します。温度が400 ℃くらいになると、電熱線は暗赤色になります。さらに温度を高くすると、電熱線の色は赤、橙、黄となり、ついには電熱線から白光が発せられるようになります。このように熱がかかることによって物体から光(電磁波)が出ることを熱放射といい、白光するほどに温度が高くなっていることを白熱といいます。
色温度
白熱電球の仕組み
白熱電球はこの熱放射を利用した電灯であり、電気エネルギーをいったん熱エネルギーに変換してから光を得るタイプの電灯です。白熱電球の構造は図のようになっており、電球内のフィラメントに電流を通して白熱発光させることによって光を出します。フィラメントは非常に高い温度になるので、使用するにつれて酸化・蒸発し、次第に細くなっていきます。フィラメントは長期間使用するとついに断線してしまいます。よく「電球が切れた」というのは、フィラメントが断線したことをいいます。エジソンが日本の竹から取り出した繊維を電球のフィラメントに利用したという話は有名ですが、当初はフィラメントがすぐに焼き切れてしまい、その材質選びにはかなり苦労しました。
現在、フィラメントとして広く使われているのはタングステンという金属です。タングステンは融点が3382 ℃で高温度に耐えることができます。しかし、タングステンフィラメントにしても、使用しているうちに少しずつ酸化・蒸発していきます。この酸化・蒸発を抑えつつ、さらに高い温度をかけることができれば、より明るくて寿命の長い電球を作ることができます。そのために、最近の電球には、アルゴンや窒素などタングステンと化合しないガスが封入されています。またフィラメントにも改良がなされて、明るくて太陽の光色に近く、かつ寿命の長い電球ができるようになりました。
白熱電球は構造が簡単な反面、光を得る効率は極めて低く電気エネルギーのほとんどが熱エネルギーとして失われてしまいます。それが証拠に点灯している電球はやけどするほど熱くなっています。
白熱電球は発光効率が低いので地球温暖化防止のために使用しない方が良いという流れになりつつあります。世界各国で白熱電球を使うのをやめようという動きが出て現在はLED電球に置き換えられています。
それでは最後にYouTubeで見つけた電球の仕組みを説明した動画です。
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