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2013年7月 3日 (水)

合成洗剤は手あれの原因になるのか?

 合成洗剤が普及し始めた昭和30年頃から、手あれになる女性の数が増えました。男性の数はそれほど変わらないのに、女性の数だけが増えたのです。この傾向は合成洗剤の影響によるものと考えられました。当時、家庭の炊事や洗濯などの水仕事は主に女性が行う仕事であったため、女性だけの症例が増えたというのがその裏づけにもなったわけです。以来、合成洗剤が手あれの原因になるという指摘が多く見られるようになりました。

 合成洗剤は本当に手あれの原因になるのでしょうか?一般的な感覚として、石けんは問題ないが合成洗剤では手あれになりやすいと考えている人もいると思います。しかし、実際には石けんも合成洗剤も手あれの原因となります。

 健康な皮膚は皮膚表面の皮脂腺から分泌される脂質と汗腺から出る汗が混ざりあってできた皮脂膜で覆われています。皮脂膜は言わば天然の保護クリームのようなもので皮膚を外界から守る働きをしています。

 石けんや合成洗剤は脱水作用、角質変性作用、洗浄作用を持っていますが、これらの作用が皮脂膜に影響を及ぼします。

 脱水作用は皮膚表面の角質を乾燥させ肌荒れを起こす原因となります。

 角質変性作用は皮膚のたんぱく質の角質を変化させます。その結果、皮膚表面の酸性が失われ皮膚の抵抗力が低下します。抵抗力が低下すると皮膚表面で微生物や細菌などが繁殖することになり皮膚炎を起こす原因となります。

 洗浄作用は皮膚表面の脂肪を取り除いてしまいます。脂肪が取り除かれると、外界の有害な物質や病原体などに皮膚表面が何らの防御もなくさらされることになり、皮膚炎を起こす原因となります。

 以上のような状態になると、様々な原因による皮膚炎が起こる可能性が出てきます。石けんや合成洗剤そのもので皮膚炎が起きなくても、別の物質で皮膚炎が起きてしまう状況になりやすくもなるわけです。

 これらの石けんや合成洗剤の作用は個人差があります。手あれになりやすい人は石けんや合成洗剤を使わなくても、お湯だけで手あれになる場合もあります。また石けんや合成洗剤の種類や使用時間によっても差が出てきます。例えば、綺麗好きな人の中には、手や体を何度も洗う人がいますが、洗いすぎると上述の作用でせっかくの自然の皮膚の防御機能が失われ肌荒れや皮膚炎の原因となりますので注意が必要です。

 合成洗剤と皮膚疾患の関係については皮膚疾患の種類によって色々と議論が分かれ簡単に結論を出すことができないのが実情です。それは皮膚疾患が単に合成洗剤が原因物質となって生じるのではなく、体質や使用環境など様々な原因が重なって生じてくるからです。

 合成洗剤が手あれの原因になるの?という質問対して、ここでは総合的に考えてイエスと答えておきましょう。しかし、同時に合成洗剤そのものが手あれの原因物質になるとは言えない面があるという認識を持つことも重要です。合成洗剤だから絶対に手あれになると短絡的に考えるのは正しい判断とは言えません。そして、これは石けんも同じことです。

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