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2011年6月17日 (金)

コンピューターウイルス作成罪が可決

17日に参議院本会議で賛成多数で、コンピュータウイルスに関する刑法の改正案が可決されました。

これまでコンピュータウイルスの作成や提供は、刑法では第234条の2 計算機損壊等業務妨害罪でしか罪に問えませんでした。その条文は次の通りです。

第234条の2
人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊し、若しくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

この条文の問題点はコンピュータウイルスによって、器物損壊させたり、業務妨害させたりしたときには罪に問えるが、コンピュータウイルスを作成したり、配布したりする行為そのものに対しては罪が問えないということでした。

また、その対象が人が業務に使用する電子計算機・・・とありますので、個人が家庭で使うコンピュータは対象にならないという問題もあります。

今回の改正では、コンピュータウイルスを作成したり、提供したりする行為そのものに対しての罰則を規定したものです。

条文ではウイルスという言葉は使われておらず、不正指令電磁的記録という言葉になっています。条文の概要と内容は次の通りです。

▼正当な理由なくウイルスを作成、提供、供用した場合は3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する

第168条の2(不正指令電磁的記録作成等)
人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
 一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
 二 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
 2 前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、同項と同様とする。
 3 前項の罪の未遂は、罰する。

▼ウイルスの取得や保管も2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処する(わいせつ画像を不特定多数の人に電子メールで送信する行為を処罰対象)

第168条の3(不正指令電磁的記録取得等)
前条第一項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
 第175条中「図画」の下に「、電磁的記録に係る記録媒体」を加え、「、販売し」を削り、「又は250万円以下の罰金若しくは科料に処する」を「若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する」に改め、同条後段を次のように改める。
 電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
 第175五条に次の一項を加える。
 2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
 第234条の2に次の一項を加える。
 2 前項の罪の未遂は、罰する。

さて、この刑法改正で、今後はウイルスの作成することも、保管することも一切できないように思えますが、条文には「人の電子計算機における実行の用に供する目的で」とあります。ですから、自分がウイルスを調べたりする目的で、自分のコンピュータでプログラムを作成したり、保管したりすることは罪には問われないことになりそうです。

また条文を読むと、これらの行為を目的をもってやった場合ですから、たまたま作ったプログラムがシステムを破壊するようなものだったり、調査などのために保管していたウイルスを過失で配布してしまった場合には罪に問われないことになります。

しかし、これは裏を返せば、目的が違っていたことや、過失だったことを証明できなければ罪に問われるということでもあります。

現在のコンピュータウイルスの社会に与える影響を考えると、このような刑法改正は必要だとは思いますが、条文を見るとわかるとおり、ウイルスの定義など、ずいぶん曖昧な部分があります。

裁判所がどのような判例を築き上げていくかにかかっていると思いますが、適切な運用ができるでしょうか。ちょっと心配な部分もあります。

また、この改正でコンピュータやインターネットの研究開発が萎縮しなければと思います。

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