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2007年5月 4日 (金)

ペットボトルのリサイクル

プラスチックの仕組みとはたらき(秀和システム)
ごみ問題100の知識(東京書籍)

 コンビニエンスストアに行くと、飲み物の冷蔵庫の中に、所狭しとペットボトル容器に入った飲料が並んでいます。ペットボトルはポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂でできたプラスチック容器で、1977年に醤油の容器として登場しました。1982年から飲料の容器として広く使用され始め、当初は1.5リットルなど容量の大きな飲料のみに使われてきましたが、後になって500ミリリットルや350ミリリットルの飲料の容器にも使わるようになりました。

 ペットボトルのリサイクルが始まったのは1995年ですが、1996年のペットボトルの回収率は3%にも満たない数字でした。しかし、容器包装リサイクル法が施行されると、1999年にはペットボトルの回収率が約20%まで向上し、2003年には約49%のペットボトルが回収されるようになりました。

 一方、ペットボトルの生産量は年々増加傾向にあり、1996年に約17万トンだった生産量が、2003年には約44万トンにもなっています。ペットボトルのリサイクルは進んでいるものの、本来の目的である、ごみの減量化にはつながっていないという問題が起きています。

 ペットボトルのリサイクルは消費者が分別廃棄することから始まります。分別されたペットボトルは地方自治体によって回収され、それがリサイクル事業者に持引き渡されます。ペットボトルは工場で処理されて再資源化されることになります。

 一般的に、プラスチック容器のリサイクルには(1)洗浄しくり返して使うリユース、(2)プラスチックをいったん溶かして、プラスチック製品の原料として利用するマテリアルリサイクル、(3)プラスチックを化学的に処理してプラスチックを合成する原料にして利用するケミカルリサイクル、(4)プラスチックを焼却して熱エネルギーを回収するサーマルリサイクルがあります。

 最も効率が良いのはプラスチック容器をそのまま繰り返すて使うリユース
です。ヨーロッパではペットボトルのリユースが進んでいますが、日本ではペットボトルのリユースは全くと言って良いほど進んでいないのが現状です。

 リユース以外のリサイクルでは、回収されたプラスチック容器は、新たなプラスチック製品を作るための原料となります。プラスチック容器の回収率があがることによって、再資源化された原料の量は年々増加傾向にあります。これは良いことのように思われるかもしれませんが、実際には再資源化された原料の量が多くなりすぎて、使い道に困るという問題が起きています。すなわち、再資源化された原料の需要の確保が難しくなっているのです。

 これを解決するのは、再資源化された原料を、もとの製品に再生することです。これを水平リサイクルといいます。しかし、工場でプラスチック製品を製造する時に出た端材や、規格外品を再利用(プロセスリサイクル)するのとは違って、廃棄物として回収され再資源化された原料を再利用(ポストコンシューマーリサイクル)する場合には、異物の混入などにより、原料の品質が劣るなどの問題があるのです。

 これを解決していくためには、再資源化された原料の品質を高める必要があります。すでに、いくつかの企業が実用的な方法を開発しています。

 ペットボトルの場合には、帝人ファイバーが2003年にペットボトルのケミカルリサイクルによる水平リサイクルを実現しています。回収したペットボトルのプラスチックを分子レベルまで分解し、石油から精製した原料と同等以上の高純度原料を得ることがでます。また、石油から作るよりもエネルギーが少なくて済み、二酸化炭素の排出量も削減できるそうです。新たに石油から精製した原料を投入する必要がなくなるのですから、ペットボトルのリサイクルに大きな期待がもてるのです。

しかし、「100億円工場 操業停止に、帝人ペットボトル再生事業が映す容リ法の綻び」というニュースを見るとわかるように、この方法はうまくいきませんでした。要するに帝人ファイバーのやり方ではコストがかかるため、地方自治体が帝人ファイバーを使わずに、別の業者を使ってきた結果、帝人ファイバーのペットボトル再生工場がやっていけなくなったということなのです。

 せっかくこのようにすばらしい科学・技術が開発されても、リサイクルコストだけを重視した結果、せっかくの有望な技術が使われなくなってしまったわけです。

ごみ問題を解決していくためには、社会の仕組みを変えていく必要があります。算性や利潤とは違う視点で、物事を考えていくようにならなければいけません。この大量生産・大量消費・大量廃棄の社会は本当に行き詰まってしまっているのです。コスト優先に走ってしまうと、社会の仕組みを変えることはできません。「科学と技術の発展だけでは解決できない」ひとつの例でしょう。

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